ARTISTS
12
小林健太
Kenta Cobayashi
Everything
2015-2017

若手写真家たちにとって、加工は時にシャッターを押す瞬間よりも重要です。小林健太の作品では、画像があからさまに加工をされています。写真をいじったことを隠すためにシームレスな加工をするのではなく、むしろ小林は写真に混ぜ物を加えることを作品の中心にしています。
 
小林の作品を考える上で役に立つのは、キャンバスに絵の具を塗り残した20世紀初頭のフォービズムの画家を思い出してみることです。作為を構成の一部としてあらわにしていて、同じような手法のダイナミズムが感じられます。写真は外の世界に向けられた純粋で透明な窓ではなく、現実の描写が壊れていることを見せるに過ぎないのが写真という幻想だと言い換えてもいいかもしれません。小林は、私たちにとっての現実の描写というものは、究極には創作であって、薄い表層だけがリアルなのだと主張するのです。さらにビデオゲームの中で撮影された「写真」を用いることで、私たちがゲームのプレイヤーである、という考えを押し広げてくれます。ゲームはヴァーチャルでもあると同時に、もはやリアルな生活でもあるのです。
小林健太
1992年神奈川県生まれ。主なグループ展に「ハロー・ワールド ポスト・ヒューマン時代に向けて」(水戸芸術館現代美術ギャラリー、2018年)、集美×アルル国際フォトフェスティバル(廈門、中国、2015年)など。若手写真家の旗手のひとりとして国内外で活躍しています。