ARTISTS
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鈴木理策
Risaku Suzuki
サンサシオン
Sensation

2009

その歴史において長い間、写真は視覚芸術と関係が深く、特に絵画と複雑な関係にありました。フランスの画家ポール・セザンヌは、19世紀後半の数年間に、南フランスのサン・ヴィクトワール山を何度も描きました。重要なのは、彼がひとつの山を繰り返し描くことで、色、時間、知覚の探求を試みたということ。山の見え方は、描かれた時間によって異なるからです。描く対象は同じでも、画家のアプローチは毎回異なるのです。
 
鈴木理策は、セザンヌが晩年を過ごしたアトリエを訪れ、彼の絵画に対するオマージュとして写真を撮影しました。彼が写真で取り組んだのは、カメラの機能によって色と知覚の根幹をとらえることだったと言えるでしょう。近代絵画の重要な作品が生まれた場所を訪れることで、鈴木は写真の本質とカメラの表現性に回帰しようとしたのです。丘の上にこの写真を展示したのは、セザンヌのサン・ヴィクトワール山と浅間山の間に視覚的な、またテーマとしても関連が生まれることを意図してのことです。
鈴木理策
1963年和歌山県生まれ。ライフワークともいえる熊野での撮影のほか、桜、雪のシリーズといった多様な対象を異なるアプローチでとらえています。作品は、サンフランシスコ現代美術館や、東京国立近代美術館等に収蔵され、国内外で個展を開催しています。