ARTISTS
27
チャーリー・エングマン
Charlie Engman
Mom (2018)
2018
 
芸術において、アーティストとミューズというのは古典的なテーマです。アメリカ人写真家チャーリー・エングマンの作品では母親のキャサリンが大胆なモデルを務め、長年にわたって彼の作品にインスピレーションを与えてきました。これまでに二人はファッション撮影、インスタレーション、あるいはパフォーマンスアートに類似した作品などの、多くのアーカイブを残してきました。エングマンの変わらぬモデルとして、母親と息子との関係性、またはお互いに対する愛情と敬意がひとつひとつのプロジェクトを支えてきたのです。

今回のインスタレーションでは、360度の撮影ができるカメラを使用しています。映像はデジタル編集され、ふたつのシーンが同時に再生されており、鑑賞者の頭の向きに連動して実際に見えているかのように目の前に広がります。これまで写真は単一の視点からしか見ることが出来ませんでしたが、画像のキャプチャーと再生技術が進歩したおかげで、写真を見る人は素材との位置関係から見方を変化させることによって写真を動的に経験することが可能になったのです。これはバーチャル・リアリティ(VR=仮想現実)と呼ばれるもの。私たちがここで入りこもうとしている世界は、母親と息子のクリエイティブな共同作業によって創られた、奇妙ではあるものの、同時に人を惹きつけてやまないビジョンなのです。
チャーリー・エングマン
シカゴ出身。オックスフォード大学で日本と韓国についての研究で学位を取得するかたわら、写真家として活動をスタートしました。『AnOther Magazine』『Dazed』『Garage』『POP』『Unemployed』『American Vogue』などの雑誌で撮影を行なっています。