ARTISTS
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小山泰介
Taisuke Koyama
Tidal Lines #1
2013

ランダムな間隔で画面の上に現れては消えていく白い線。これらは、暗い夜の闇の中で撮影された、瀬戸内海の水面に反射した月の光です。小山泰介は満月の夜に撮影を行うことで、作品の光源を最大限取り込みました。満潮時には、月と太陽の引力が組み合わさって海面は非常に高くなります。こうして小山は、控えめな構成でありながらも宇宙的なスケールを感じさせる映像を作り上げました。アメリカの写真家ハリー・キャラハンの1943年の写真作品「Sunlight on Water」へのオマージュでもある本作。自分から10フィート以内の身近な対象物を捉えることにその生涯を費やしたキャラハンの制作方法の持つ詩的な感性を唯一無二のものにしているのは、写真の主題の選択における控えめな態度ですが、小山の作品にも、それと同じようなアプローチが見られます。

撮影のパラメータは写真家が決定したものでも、イメージの内容は偶然の産物です。言い換えれるならば、写真家はそこに何が写しだされるかをコントロールすることができないということ。むしろ彼のイメージの源は、水の動きと、それがどのようにして光線を曲げるかという偶然性にあると言えるでしょう。
小山泰介
1978 年生まれ。東京在住。写真家として活動する前は、生物学や自然環境について学んでいました。その批評的なアプローチは、ポストデジタル時代のイメージ作成の可能性を探る写真として彼の作品を知らしめています。小山はまた数々の賞にノミネートされ、国際的に活躍しています。