ARTISTS
04
鈴木理策
Risaku Suzuki
水鏡
Water Mirror

2014

鈴木理策の「水鏡」に見られる構図やモチーフは、水面に浮かぶ睡蓮を描いたクロード・モネの絵画を思わせます。モネの絵の中で水面は鏡の働きを持ち、異なる平面に分かれた二つの次元を同時にそこに写し出しています。また、はっきりとした消失点を定めないことで、キャンバスの限界を超えて構図が広がっていくような不思議な感覚が生まれています。水面にこだわったモネの巨大な壁画では、絵に沿ってどこまで歩いていっても構成が崩れることはありません。つまり、遠近法から解放された構図のおかげで、消失点に向かって伸びていく線に視線の動きが限定されることがないのです。こうして絵画の固定観念を打ち破ったモネの絵画に対するアプロ―チは、当時話題となっていた視覚に対する新しい考え方の先駆けとなりました。

モネの絵画に直接言及することで、鈴木は「水鏡」のイメージの美しさや構成について深く考えさせ、水面が持つ鏡の効果や、構図の中央にある不思議な歪みに私たちの視線を引き付けます。鈴木は詩的な方法によって、写真にまつわる固定観念や、消失点を主要な構成要素とする写真の性質についての考察を示しているのです。
鈴木理策
1963年和歌山県生まれ。ライフワークともいえる熊野での撮影のほか、桜、雪のシリーズといった多様な対象を異なるアプローチでとらえています。作品は、サンフランシスコ現代美術館や、東京国立近代美術館等に収蔵され、国内外で個展を開催しています。