写真の原理に基づき概念を構築し、ユニークな技法で常に新しい試みを行う濱田祐史。「C/M/Y」では、デジタルポラロイドトランスファーという技法を用いて色と形態を考察している。ポラロイドプリントを水につけることで乳剤部分を剥がし、カラー写真をC(シアン)、M(マゼンダ)、Y(イエロー)の三色の層に物理的に分解する。それを紙の上で一枚一枚重ね直し、ひとつのイメージに再構成することで、新たな色彩構造を作り出した。ピンセットで重ねる緻密な最終工程では、例え失敗してもそれを生かすことで、予期せぬ偶然を取り込んでいる。
素材になっているのは、100年以上前のポストカードや古写真やインターネット画像などの複写と、自身が撮影した写真に写る、滝や花や街などのイメージなど。時には撮影者が不明な写真を分解し、再び写真へと戻すことで、そこにオリジナリティを与えている。イメージの色相構造を解体し、視点を少し変え、手を加えることで、まるで魔法のように写真を蘇らせているのだ。
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