テーマに基づいた、タイポロジー(類型学)的なスタイルで、世界各地で精力的にポートレイト写真を撮影するシャルル・フレジェ。祝祭の装いを撮影した「WILDER MANN」「YOKAINOSHIMA」に続く、本作のテーマは「CIMARRON(シマロン)」。これはスペイン語で、環大西洋奴隷貿易の際にアフリカ大陸から連れ去られたのち、売られた地で逃亡した黒人奴隷を指し、南北アメリカ大陸に住む彼らの子孫たちがいまも行う、祝祭で身につける衣装を撮影している。
逃亡したシマロンたちは自らのコミュニティを作ったり先住民と交流したりして、新たな居住地(アメリカ、メキシコ、ペルー、ブラジルなど)で独自の文化を築き上げた。そして故郷のアイデンティティに加え、新天地の素材や意匠をも取り入れた衣装を纏い、祝福や祈り、支配への抵抗、悪魔や死などを表現し、共有してきた。フレジェは、その鮮やかで自由な造形美をもつ装いの奥深くに、力強いフラッシュを当てることによって、そこに隠れたいくつものレイヤーを浮かび上がらせる。
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