ペイントやコラージュが大胆に施されたカラフルな花々。よく見ると、加工されたクラッシックな静物写真に、現代的な素材が組み合わされていることに気づく。グレゴリー・エディ・ジョーンズによる「Flowers for donald」は、2016年のアメリカ大統領選からの日々をデジタルコラージュでまとめたシリーズ。ストックフォトから見つけたイメージに、意識の流れに任せて、デジタルでペイントや加工を施し、時にはウェブ画像を引用しながら、作家自身のアメリカの文化と政治のイメージを再構築している。
美術史において、花は永続的な美や記念碑的なものの象徴として長く扱われてきた。花の効力を借りて、花を政治への抗議のアンカーポイントして作用させること。ジョーンズはそのために、20世紀初頭、ヨーロッパのダダイストたちが用いたアプロプリエーション、コラージュ、不合理な美意識といった手法を現代に蘇らせ、現代のアメリカ社会の不安定さを映し出そうと試みる。動乱の時代において、作家自身がその不条理に立ち向かい、乗り越えようとしながら、アートの役割と機能の拡張に挑戦している。
![]() |
![]() |