家族アルバムに写る幼い頃の作家の姿。隣には大人になった作家自身が佇む。本作「Imagine Finding Me」は、家族アルバムに写った幼い作家のポートレイトに、現在の自身の姿を加工することで再構成した、ダブル・セルフ・ポートレイト。「デジタル技法でつくったタイムマシーンに乗りこみ、わたしがかつていた場所へ、訪ねた場所へ、自分史をめぐる旅にでる」と記されたステートメントのように、この作業は過去を訪ねるとともに、10歳から単身で英国へ渡った自身のアイデンティティを見つけだす行為でもある。
古い写真をもう一度作り直すことは、大塚にとって"いま"についての作業であり、常に現在の鏡となりうるイメージを探しているという。街角のパン屋でバゲットをかじる少女の横に、クロワッサンを頬張る作家が立つ。古い写真に閉じ込められたパラレルワールドに、見る者はつい自分と重ね合わせてしまう。徹底して作り込まれた世界観によって、まるで我が事のように彼女が作ったストーリーに引き込まれ、過去と現実をつなぐ糸を探す旅へと誘われるのだ。
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