ネルホルの制作プロセスは、数百枚の連続撮影した写真を出力し、本のように束ねた上から彫刻することで立体作品にしている。また、彫られたものを再び複写し、大きく引き延ばした作品も存在する。写真と彫刻の間を行き来しながら、ポートレイトのほか、モノや植物、風景など、幅広い被写体を扱う。初期の等高線のようなラインから、抽象的で荒い仕上がりへと、カットの方法も変化している。
ポートレイトの場合は、被写体が3分の間に動くことで、200枚の中にズレが生まれ、カットによってズレが「歪み」として現れる。また同じ200枚のポートレイトの束でも、カットの仕方によって仕上がりは毎回変化し、同じ彫刻はひとつとしてない。今回展示する8枚のポートレイトも、同じ被写体の連続写真が元になっている。写真を解体し、再構築することで、そこに流れた時間が層になって立ち現れる。同一人物とは思えないほど歪んだポートレイトから、感情のゆらぎのようなものが生まれ、私たちが見ていたもの、そして目の前で見ているものとは何かを問いかける。
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