誰もが目にする自然風景を、独自の演出によってマジカルで神聖な瞬間へと変換するインカ&ニクラス。本展では「The Belt of Venus and the Shadow of the Earth」「Becoming Wilderness」「The Pentagram Position」「Vista Point」「Family Portraits」「4K ULTRA HD」の6シリーズを紹介している。人間の自然観をテーマににしながらも、粉末を空中に放り投げたり、拾った小枝でインスタレーションを作ったり、ライティングで被写体の岩石に色彩を与えて撮影したりと、そのプロセスもユニークだ。
例えば風景の真ん中が黒い障害物で隠されている「Vista Point」は、アメリカの観光スポットに立って、観光客に混じって撮影された。黒い障害物の正体は、有料の双眼鏡を使うときに入れる25セントコイン。コインをカメラのレンズに貼ることで、単なる風景写真を超えて、批評性を帯びた不穏なイメージとなる。彼らはこのようなプロセス自体を、カメラを通した“パフォーマンス”であると考え、演出を施すことによって目の前の自然風景から、超現実な世界の扉を開く。
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