ヴィヴィアン・マイヤー
「Self portraits」(1950年代ー1970年代)

ヴィヴィアン・マイヤー「Self portraits」(1950年代ー1970年代)

20世紀中頃のシカゴに生きる人々の姿を切り取ったこの作品群は、ヴィヴィアン・マイヤーという一人の女性が撮影したもの。マイヤーはその生涯をシカゴのノースショアでナニー(乳母)として過ごしました。内向的でちょっぴり偏屈な性格だったという彼女は、お金持ちの家庭に住み込みで働くかたわら、休日には街へ出て写真を撮るのが唯一の楽しみでした。
撮り溜められた写真は15万点以上。生前は発表されないまま2009年に世を去りますが、彼女の死後、膨大に残されたネガやプリント類はフリーマーケットに出品されます。偶然手に入れたコレクターがその才能に驚き、インターネット上で発表されると、瞬く間に世界中の注目を集め、個展が開催され、その一部始終はドキュメンタリー映画化もされ……主役のいないシンデレラストーリーが誕生したのです。
マイヤーは社会問題への視線を注ぎながら、時に危ない場所に踏み込んで様々な人種や文化風俗を捉えました。愛用していた二眼レフカメラ、ローライフレックス独特の煽るようなアングルから被写体に迫る力強いスナップは、半世紀を経た今もなお、私たちを惹きつけてやみません。
孤独ゆえ、謎多きマイヤーの人生に想像を膨らませながら、今では世界中にファンを持つ貴重な作品をお楽しみください。

ヴィヴィアン・マイヤー「Self portraits」(1950年代ー1970年代)

ヴィヴィアン・マイヤー「Self portraits」(1950年代ー1970年代)

©Estate of Vivian Maier, Courtesy Maloof Collection and Howard Greenberg Gallery, New York

Profile

ヴィヴィアン・マイヤー

1926年ニューヨーク生まれ。
シカゴでナニーをしながら、アマチュア写真家として写真を撮りためる。作品は死後発掘され、世界中の美術館やギャラリーで展示される。2013年にはドキュメンタリー映画『ヴィヴィアン・マイヤーを探して』も公開。昨年Akio Nagasawa Galleryで日本では初となる個展も開催。

AREA展示エリア

脇本陣の宿 粂屋

住所:長野県小諸市市町1-2-24
展示時間:11:00~16:00