森山大道
「Stray Dog」(1971)

森山大道「Stray Dog」(1971)

コントラストの強い荒れた粒子のモノクロの写真。世界中の誰が見ても、一目で「森山大道だ」とわかる強固なスタイルが貫かれています。北国街道沿いの情緒あふれるほんまち町屋館の壁面に大迫力のサイズで私たちを待ち受けるのは、その森山の代表作の一つである「Stray Dog」。振り返りざま、こちらを睨むように威嚇する野良犬が画角いっぱいにおさめられ、その存在感に圧倒されます。
70年代当時、「アサヒカメラ」の連載で全国各地を回る森山が青森県の三沢を訪れた際、目の前に現れた野良犬を、瞬間的に撮った一枚だと言われています。
米軍基地のある三沢には、米兵が犬を連れて来日したものの帰国する ときには置き去りにしたため、野良犬がたくさん路上をうろついていたといいます。
ひとり街を徘徊し、まるで獲物を捉えるように心の動いたものをスナップしていく森山は、この一匹の野良犬の姿に自らを重ねたのではないでしょうか。
セルフポートレイトを数多く撮影してきた森山にとっては、この代表作はもうひとつのセルフポートレイトと言って良いのかもしれません。
「カメラなんてコピー機なんだから」という言葉に象徴されるように、83歳の現在も日々路上に出て精力的に撮影し、世界を複製しています世界中の熱狂的なファンが常に新作を待ち受ける、日本が誇る写真家です。

©Daido Moriyama Photo Foundation, Courtesy Akio Nagasawa Gallery, Tokyo

Profile

森山大道

1938年大阪府出身。
1968年の「にっぽん劇場写真帖」で高い評価を得た後、プロヴォーグに参加。
1972年の「写真よさようなら」は、世界の写真史に足跡を残す名作として知られる。
近年では、2019年にハッセルブラッド財団国際写真賞ほか数々の賞を受賞。
現代写真を代表するレジェンド的な存在として、ロンドンのテートモダン他世界各国で個展を開催。

AREA展示エリア

ほんまち町屋館

住所:長野県小諸市本町2-2-9
展示時間:常時鑑賞可能
※隣接の民問駐車場には入らずに鑑賞してください