伊藤昊
「GINZA TOKYO 1964」(1964)

伊藤昊「GINZA TOKYO 1964」(1964)

1964年の東京オリンピックが開催された年の銀座。女性がかけている眼鏡に反射する街のにぎわい、道にたむろするみゆき族と呼ばれる若者たち、万国旗が連なりお祭りムー ドにあふれた街を行き交う人々の装いや建設中のビルから、戦争を乗り越え、経済が発展を遂げている日本の活気と希望に満ちている様子が伝わってきます。
撮影したのは、当時弱冠21歳だった伊藤臭。正統派のストリートスナップですが、グラフィカルに世相を捉えるそのスタイルは、半世紀を経た私たちの目にも新鮮に映ります。コカコーラの看板や米兵がたびたび写り込んでいますが、アメリカナイズされていく東京を写真家を志す若者はどのような思いで見つめていたのでしょうか。
こんな魅力的な写真を撮りながら、伊藤の名が知られることがなかったのは、写真の専門学校を経て写真展を2度ほど開催したものの、写真集を出版することもなく陶芸家に転身し、 72歳の生涯を閉じるまでその作品は忘却の彼方に置き去りにされていたから。56年ぶりに東京でオリンピックが開催される予定だった2020年、銀座・森岡書店の手によって写真集と して蘇ったのです。
未曾有の事態にさらされながら、二度目のオリンピック・パラリンピックを迎えた東京。活気に満ちた日常が戻ってくることを願い、希望にあふれた伊藤の作品を展示します。

伊藤昊「GINZA TOKYO 1964」(1964)

伊藤昊「GINZA TOKYO 1964」(1964)

Profile

伊藤昊

1943年大阪府生まれ。
東京綜合写真専門学校卒業後、フリーのカメラマンとなる。1978年に益子に移住し、晩年まで陶芸家として活動した。2015年没。
2020年に写真集『GINZA TOKYO 1964』が森岡書店より刊行された。

AREA展示エリア

小諸城址懐古園 馬場

住所:長野県小諸市丁
展示時間:09:00~17:00
※散策券の購入が必要です